輪島市町野町佐野の八幡神社で行われるこの祭りは、男祭りで災害や不幸の厄払いです。そのような「悪」と思われるものを「おし払う」祭りという意味で「おしはら祭り」と呼ばれているという言い伝えがあります。
毎年二月三日と三月三日の二回、集落全戸の戸主が参列します。三月三日の祭事には神職も参会しますが、この祭りは神社中心ではなく町組織によるものです。
両日とも、床にケヤキの板を並べて参列者が着席し、ロウソクの灯りの下、一同が参拝します。
ひと月を一寸として、一年十二ヶ月の長さに切られたヌルデの棒で、五穀豊穣、安穏息災をひたすらに祈念して一切喋らず懸命に棒を叩き続けるのです。一心不乱に一気に十七回叩いて「一きばり」とし、それを七回するから「七きばりの祭事」とも呼ばれます。
神前で無言の中、懸命な所作と響き渡るケヤキ板の音は、神気立ち込める壮絶な空間となります。祭事終了後は、味噌で味付けした豆腐などとご飯を和やかに食するのが通例です。