毎年、彼岸の中日(春分の日)の日没から行われる「万灯火(まとび)」は、古来から小阿仁川流域に伝わる先祖供養の伝統行事で、墓前でワラを燃やしたことが由来とされています。

今は「ダンボ」または「ダマ」と呼ばれる端切れの布を丸く球状にしたものに灯油を染みこませたものを芯とし、集落から見渡せる山の尾根や河原、田んぼ、墓所に点々と並べ、集落名や「中日(彼岸)」などの火文字の枠を立ち上げたりするのが一般的です。

雪舞う日でも穏やかな星降る夜でもチラチラと灯る万灯火の炎は、来るべき春の予感と長い間伝統を守り続けてきた村々の人々の温かさを感じさせてくれます。