医療が発達していない時代に、厄病を恐れた人々は身代わりのわら人形に祈りを託し、川に流すことにより病気や災いを追い出して人々の健康を祈る山形の伝統行事「病送り」。
この行事は、葉山の南の麓の小さな集落、幸生地区で毎年3月の第2日曜日に行われます。

幟旗を先頭に、鬼の絵、赤南蛮、炭、団子を付けたナラの枝木を持った地区民が列に加わり、地区外れの橋上からそれらを流して災いを断つのが習わしとなっており、参加者には、山形の冬の郷土料理「納豆汁」が振る舞われます。

幸生地区で行われるほかに、舟形町のいくつかの集落でも6月ごろに今もなお行われており、そこでは人々の身代わりとなるものを包んだわら人形をリヤカーに積み、街中を巡ります。
街を巡ったわら人形は、集落から離れた川岸で燃やされ、行事は終了します。

近年、医療技術の進歩によりだんだんと廃れてしまった「病送り」ですが、数少ない地域では今も残る、個人だけでなく他人の幸福も願われる、今後も大切に残っていってほしい風習だと思います。