広島県安芸高田市の本郷で、5月下旬に、「本郷はやし田」を開催します。

はやし田(通称:花田植え)は、太陽を父とし水の精を母とする田の神(サンバイ)をお迎えして、その加護によって無事田植えが終了することです。

田植え時に声を掛け合い、楽器を囃したてながら苗を植えるその光景は「芸能」としての一面を持ち、安芸高田市および広島県内に留まらず中国山地の山あいの地域に脈々と受け継がれている文化です。

広島県の無形民俗文化財に指定されています。

サンバイ(田の神)を祭って無病息災と豊穣を願う農耕儀礼であるとともに、重労働である田植作業を楽しくこなすための工夫でもあります。

きらびやかな装具をつけた飾り牛が代掻き(丁寧に掻き混ぜて、土の表面を平らにする作業)をする光景、絣の着物に菅笠をかぶった早乙女、見事なバチさばきを見せる囃子手が歌大工に従って一斉に歌い、揃った所作をする様子は美しい田園絵巻です。